森の企画室

地域の木を、地域で使う文化づくり。kimamaベンチワークショップ

森林資源が豊富な乗鞍ですら、生活に地域材の利用が根付いていなかった

乗鞍高原で温泉宿やカフェ、トレッキングツアーなどを営むRaicho inc.の藤江さんから依頼をいただいたプロジェクト。

藤江さんは「森林資源が豊富な乗鞍ですら、生活に地域材の利用が根付いていなかった。」と語り、まず手始めに何かを作りたいと考えたときに、乗鞍の景観の良さが頭に浮かんだそうです。

Raicho inc. 藤江さん

乗鞍高原で行われていた修景伐採

乗鞍の一の瀬園地は人の生活と共にあった里山的な場所で、人々と自然が共生し、美しい池や小川があり、乗鞍岳が見え、老若男女誰もが気軽に自然と触れ合える場所だそうです。

その景観が森林化によって失われてしまわないように、陽樹として沢山育ってしまった白樺を修景伐採をして草原再生に取り組んでいましたが、伐採した白樺の丸太や枝葉は活用されずに一の瀬に転がっている状況でした。

どうしたら地域材を活用する文化を作れるようになるか

藤江さんが当時のTwitterでやまとわの奥田をフォローしていたことで、やまとわの活動を知っていたため、地域材を有効活用したいので相談に乗って欲しいとDMを送ってくださったことがキッカケで企画が動きだしました。

まずは楽しいことをすること

友達同士で木を使って何か面白そうなことをやれば良い。薪割りもみんなでやって、終わったあとみんなでBBQをする。そういうコミュニティーを作っていくことが大事。とミーティングをした際にやまとわの代表 中村が藤江さんに語り、それを聞いた藤江さんは共感をしてくれたそうです。

Photo by 山本拓郎

景観が良いスポットにベンチがない

乗鞍地域では、「のりくら高原ミライズ」という30年地域ビジョンを策定し、地域作りに取り組み、観光地としてもどのように整備を進めていくかを議論をしていました。
その「のりくら高原ミライズ」の勉強会で海外の国立公園などの景観を紹介してもらっている時に、のりくらには景観が良いスポットにベンチがないということが課題だったそうです。

放置されている白樺を使って、ベンチを作る

藤江さんからベンチを作りたいと相談を受けて、やまとわが設計したのがkimamaベンチでした。

当時、中村が描いた設計プラン

腐ってもいいベンチ

kimamaベンチは防腐剤や釘を使っておらず、ある程度の期間が経つと朽ちていく造りになっています。
釘を使っていないので、朽ちたときに自然の中に残ってしまうものもありません。
藤江さんはそのコンセプトに共感して、乗鞍で育った白樺が朽ちて乗鞍の土に還る、僕らも自然を利用する循環が生まれる。
今でいう自然も地域もサーキュラーな取り組みだなって思いました。こういう循環を生み出していくことが、今の社会に必要だと思います。と語ってくれました。

みんなでワイワイつくって、朽ちたらまた作る

代表の中村が言った「友達同士で木を使って何か面白そうなことをやれば良い」を実現するにはkimamaベンチをワークショップで造るのが最適ということで2021年9月11日、12日に行われました。
一の瀬園地の草原再生のための修景伐採と一の瀬園地のアウトドアフィールドとしてのプロモーションの一環として、修景伐採した白樺を用いて、ベンチを製作するというイベント(ワークショップ)を開催。のりくら観光協会の一員で藤江さんが代表を務めるRaicho Incが委託を受けて、やまとわとのコラボレーションとして実施しました。

ワークショップで製作をする中村と参加者

継続的に開催されるワークショップ

2021年9月に初回のワークショップを行ってから、継続的にワークショップを開催し2024年6月現在で4回を行っています。
当初の想いである、景観を守るために伐採した木を地域で活用していく動きを今後もkimamaベンチでつくっていきたいです。

クレジット

クライアント|Raicho inc.

企画・ディレクション | やまとわ 取締役・森林ディレクター 奥田悠史

設計・デザイン|やまとわ 代表取締役・木工職人 中村博

製作|やまとわ 木工事業部 久保田真理子 大場直人