森の企画室

地域材を活かした空間提案。まちのパン屋さん念願のリニューアル

やはり本物の木の良さを活かしたお店づくりをしたい

地元の幅広い世代に愛される、長野県上伊那郡箕輪町にある「パン茶房 窯屋」。こだわりの無添加のパン作りで、バリエーションも豊富、どれも本当に美味しいパンを提供されてます。
2012年のオープン当初に、弊社代表で家具職人でもある中村が、パンを並べる什器をいくつか製作させてもらいました。ただ予算の兼ね合いで、全ての什器を無垢で作ることが叶わず、大半は集成材や合板などを使ったものにせざるを得なかったそうです。
今回、雑貨の陳列スペースを設けるにあたり、店舗全体もリニューアルし、本物の木の良さを感じられるようにして欲しいと店主からのご要望をいただきました。

店舗全体の空間設計から考えた

リニューアルにあたり、こういう什器を作って欲しいというアイテムの要望だけでなく、「レジ前が混雑してしまう」、「レジのカウンターも狭く作業効率が悪い」と、動線や作業効率を見直したかったそう。また、それまでの店舗什器は暗めの着色塗装を施してあり、重厚感はあるものの、なんだか少し暗い印象でした。「明るく温かみのある雰囲気にしたい」という話もいただきました。
これまでは職人が家具設計をすぐにしてしまうところ、建築士の協力も得て、店舗全体のレイアウトから考え始めました。

やまとわの企画書

パース作成:一級建築士事務所 休皆-yasumina- 

全体設計は一級建築士事務所 休皆-yasumina-に協力をいただき、3Dパースを作成してもらうことで、平面図では分かりづらい空間イメージを店主と共有し、レイアウトや動線を検討することができました。

棒・箱・板の組み合わせによる壁面陳列

既に取り扱っていたジャムの他に、カッティングボードや経木など弊社の商品も陳列したい、とのリクエストがありましたが、スペースの関係で置き家具が難しく、壁面陳列を提案しました。簡単に陳列位置を変えることもできていいね、と好評でした。木曽ひのきを使用したことで、空間も明るくもなりました。

小さいお子さんが楽しく待てるキッズコーナーも

お子さん連れのお客さんも多いこのお店。わずかな滞在時間でも、お母さんたちがパン選びを楽しめるように、お子さんも退屈しないようにと、店主はいつかお店に置けたらなと取っておいた子供用のおもちゃがありました。他のお客さんにも迷惑をかけない場所でと、お店の一角にキッズコーナーを用意。店主が用意したおもちゃと一緒に、レジ横の壁面に店名「窯屋」をアレンジした文字を施した壁面おもちゃが完成。他にはないキッズコーナーができました。

店内に留まらず、屋外のルーバーも無垢の木で

店舗正面には、お店のロゴとその横には大きな窓。明るい日差しが入るのはいいけれど、日差しが強すぎるとパンの傷みが進んでしまうのでブラインドをそれまで設置していたそう。ただ、お客さんが窓から、お気に入りのパンがまだ残っているかな、と覗いたりもするので、日差しをほどよく遮りつつ、店内も見えるようなひさしを作って欲しい。というのが最初のリクエストでした。

ひさしだと大きくなってしまいそうだったので、傾斜のついたルーバーをご提案。水にも強い栗の木を選び、塗装はメンテナンス不要で風合いが良いウッドロングエコを採用。既存の外観ともマッチしました。窓掃除ができるように、固定ではなく左右に動かせるようにと、実用性もデザインに落とし込み設計しました。

長野県の補助金を活用し、施主の費用負担が6割に

長野県森林づくり県民税を活用した補助制度「木づかい空間整備事業」(令和4年度事業)をご案内し、活用を提案しました。元々、地元の木を使いたいという店主の想いもあり、弊社も当たり前に地域材でのもの作りをしていましたので、補助制度の条件である「県産材の利用」はハードルは高いものではありませんでした。とはいえ、制度を利用するには様々な書類の準備、また申請〜告示〜完了報告と手続きのステップが複数あり、正直簡単ではありません。日々の営業・仕込みに追われる店主を、手続き面でサポートすることができました。無事に採択され、施主の費用負担を抑えることができました。なかなか、こういった補助制度は一般の方は知られてないですが、限られた予算の中で、希望を叶えるために、うまくこういった制度を利用していきたいですね。

年末休業に入ってからの短期の施工期間

なるべく短いお休み期間でリニューアルをする必要があり、年末休業をいつもより2日多く取っていただき、3日間で施工を実施。職人たちはお店に迷惑をかけないようにと必死に施工。想定外のハプニングもありつつ、しっかり期間内で納めることができました。新年リニューアルされた店舗で新たに営業を再開された窯屋さん。お客さんの反応もよかったとのこと。また働く従業員さんにとっても作業がしやすくなったと、喜んでいただきました。

経木×パンの可能性にも注目

窯屋さんでは、やまとわの信州経木Shikiも販売してくれているほか、焼きたてのあたたかい食パンの袋に一緒に経木をインして、販売されてます。経木の調湿性を生かして、ほかほかの食パンから出る蒸気を上手に吸ってくれます。こんな風に経木の使い方を発信してくださって、ありがたいです。

クレジット

クライアント|パン茶房 窯屋

企画・ディレクション | やまとわ 木工事業部 吉田かおり

空間設計・デザイン |  一級建築士事務所やすみな 上見浩基

家具設計|やまとわ 木工事業部 久保田真理子

製作|やまとわ 木工事業部 久保田真理子 大場直人 近藤智子 関優一朗